相続放棄

相続放棄を考えていらっしゃる方には個々の事情があるかと思います。しかし場合によっては遺産分割協議など別の方法をとるほうが自分の意思どおりになる場合があります。

このコーナーでは相続放棄に焦点を当て、少し深く掘り下げてみたいと思います。


相続放棄の手続について


相続放棄は 被相続人の相続開始地の家庭裁判所へ申し立てます。(亡くなった方の最後の住所を管轄する家庭裁判所)

必要書類は、申し立てる人1人につき

相続放棄を申し立てる人の戸籍謄本 1通
被相続人の除籍または戸籍謄本、住民票の除票 各1通
相続放棄の申述書 1通

となります。
書式例については→最高裁判所のホームページのサイト内検索より『相続放棄』で検索してください。


手続としては以上で終了なんです。


あと付け加えることとして・・・
書式例を見てもらえばわかると思いますが、申し立てる人が成年者と未成年者では『法定代理人等』の欄への記入が異なります。

これは未成年者が相続放棄をするためには法定代理人が必要ということなのです。

ではどうするかというと、親が法定代理人になればいいんじゃないかと思いますが、実はそれができるのは親が先にあるいは同時に相続放棄をした場合のみなのです!

なぜかといいますと、

たとえばあなたの配偶者が亡くなって、もし未成年の子ども達全員に相続放棄をさせた場合、必然的にあなたの相続分が増えることになります(利益の相反といいます)。

このような親の勝手は許されないということなんですね。

この場合、子の住所を管轄する家庭裁判所に特別代理人選任の審判を申し立て、選任された特別代理人が相続放棄の申し立てをすることになります。


また、子どもが何人かいて、そのうちのたとえば1人だけ相続放棄させる場合にも兄弟姉妹の間で利益の相反は起こりますので、放棄させる子に特別代理人をつけなければなりません。

ですので、あなたが相続放棄をした場合には利益の相反はありませんから、その場合にはあなたが法定代理人として子どもの相続放棄をすることができます。

そして相続放棄をした以上借金等の債務も相続しませんので、家庭裁判所で請求する 『相続放棄申述の受理証明書』 を債権者に提出して、それを証明します。

以上のことは相続財産が借金ばかりで、家族全員が相続放棄をするなら気にしなくていいのですが・・


こんな場合は・・・


たとえば、「マイホームのローンを子どもたちに負わせたくない」ということであなたが単独で取得し、子どもたちだけを相続放棄させる場合、すべての相続人に相続放棄をしてもらわなければなりません。

しかし相続人の人数がすごく多かったり、他の相続人と仲が悪かったりすると、納得してもらうのも難しいかもしれません。

さらに、あわててしまっていろんな調査をせずに相続放棄をしてしまうと、確実に他には相続人がいないということがわかっていればいいのですが、もし万が一、被相続人に・・・

隠し子がいたり・・・
被相続人も知らない兄弟姉妹がいたり・・・
その兄弟姉妹に隠し子がいたり・・・
被相続人の親は養親で、実親がいたり・・・


と、もし他に相続人が出てきた場合、全く面識のないその人と遺産分割協議をしなければならなくなり、あなたのマイホームが共有物となってしまう恐れもあります。

そういう場合、子どもたちに特別代理人をたてて、特別代理人と、マイホームをあなたの所有とする遺産分割協議をすることも1つの方法です。(未成年者に特別代理人をたてるというパターン、これは遺産分割協議も同じになります。)

ただしこの場合、債務をあなた1人が引き継ぐということをローンの債権者にお願いして承諾してもらわなければなりませんが、【免責的債務引受】 それによって何の心配もなく、安心して今後の生活を送ることができるようになるわけです。



相続放棄の申し立てをするまでには3ヶ月間あります。

なにも焦ってする必要はなく、よくよく相続人や財産を調べてからにすることをおすすめします。

また、このように相続放棄はある意味一撃必殺なところがありますが、あなたの望む効果によっては諸刃の剣となってしまいますので慎重に行いましょう。


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